世界一熱い投資会社の日記(β版) -3ページ目

IPOができる経営者の条件

IPOをするということは一般の個人が
株主になるということである。

その責任は未上場におけるVCなどの比ではない。
とくに、一部上場などになってしまったら、
年金基金なども株主となってくる。

IPOをするということは、
会社を公器にするということである。

そういう意味ではオーナー経営者の意識ではいけないのである。

会社はゴーイング・コンサーンを前提に上場をしており、
その中で、投資家からは持続可能な成長を求められる。

会社が成長することにともなって、会社のステージが変化する。
会社をとりまく事業環境も日々変化する。
ゲームのルールは毎日変わるのだ。

それに対応して、成長できる経営者でなければ、
上場企業という公器の社長にはふさわしくない。

だからこそ、IPOできる経営者の条件とは
「会社の成長や環境の変化に自身の成長や変化が追いつかなくなったときには、
 経営者を辞する潔さがあるのか」
ということにつきるのだと思う。

もちろん社会と折り合いをつける倫理観も重要ではあることは言うまでもない。

上方修正と下方修正

最近、一部の企業(特に東証1部上場の大企業)は業績予想を
上方修正する会社が相次いでいます。

マクロ経済の動向を受ける大企業の上方修正は景気のよさを
反映している一つの証左かもしれません。

しかし、その一方で、
新興市場に上場している企業は業績予想を下方修正する企業が
相次いでいます。

新興企業の業績予想については、
成長性を高くしなければいけないという市場参加者のプレッシャーから、
少なくとも前期比数十%増の数字をだします。
(ベンチャー企業であれば高成長があたり前という意識です)

特に、上場直後のベンチャーにとっては、
上場をすることが目的化してしまい、
そこで無理に業績をあげていることから、
上場した直後に息切れしてしまうことが往々にしてあります。

また、売上高や利益の絶対額が小さいうちは、
なんとかクリエイティブ・アカウンティングで対応できてしまうのも事実ですが、
規模が大きくなったら
ごまかしがきかなくなってお手上げになってしまうということがあります。

そういう意味では、そうならない企業を見抜くことが重要で、
上場直前期などの売掛金や棚卸資産、買掛金の中味と
株主の関係を精査したりすることは重要かもしれません。

また、ビジネスモデルがわかりやすいということも重要です。
自分で儲けの成長が理解できない会社には投資すべきではないのです。

そのほか、ベンチャー企業の経営者が
業績悪化の理由を景気にもとめている場合には、能力に疑問を持ったほうがよいです。

売上規模が小さい会社は景気動向の前に、
企業努力で売上を伸ばせる余地の方が圧倒的に大きいからです。

そういう意味では経営者のスキルを見抜くことも重要ですね。

日本証券金融や大阪証券金融

最近、いろいろな報道や掲示板を見ていて
どうも腑に落ちないことがある。

大株主に日本証券金融(日証金)や
大阪証券金融(大証金)、
場合によっては松井証券などの会社が出てくることの
意味をわかっていないんじゃないかと。

日証金や大証金は制度信用や貸借銘柄の取扱いをやっていて
特に信用買いをする場合には、
顧客は日証金や大証金からお金を借りて株を買っているので、
その名義は日証金や大証金になるので、
信用買いが増えると彼らが大株主に出てくるようになる。
(松井証券も同様の理由で彼ら自身が信用買いのサービスを提供しているので、
 名前が出てくるのです)

それをあたかもそれらの会社が買っているように錯覚している人って
意外と多いようです。

彼らは業務として投資をするということはしない会社だと思うので、
別に彼らが上位に来ているからといっても、
金融機関が買いを入れているのではなく、
信用買いが多いんだと思わなくてはいけないのです。

まぁ、彼らが上位に来ている銘柄は流動性が多い銘柄が多くて
株式市場での知名度の高い銘柄が多いという特徴はあります。

面接の質問

私が採用面接に臨むときの心構えは
一緒に働きたいかどうか。という点だけで見ています。

そのため、お互いに緊張している中でも
素でコミュニケーションが取れるように、
普段のMtgのような感じで面接をします。
だから笑ってばっかりだし、
一緒に面接に出席する人とも話をします。

スキルという部分については、
一緒に働いてみないとわからないし、
人が人の能力を判断することなんて本当はできないので、
判断基準は一緒に働いたらより楽しくなるかどうか
っていう基準しかないんだと思います。

働くということには、つらいことがつきものだと思います。
しかし、そのつらいことは気持ちのもちようで
いかようにでも楽しくできるのです。
どうせやらなくちゃいけないのなら楽しくやろうっていう
前向きな人生観がある人が、結局は仕事の上でも成功するのではないか
という仮説が私の面接の最大にして唯一の判断基準です。

学生が企業で働いて得られるもの

今日、インターン志望の学生の面接をした。

営業がやりたいという志望だった。
将来は起業がしたくて、技術はこれから磨いていくので
営業のスキルを磨きたいということだった。

起業するのならば、どんなところでどんな仕事をしていても
全体のビジネスを把握しながら、その中で自分が働くことがどのような作用を
全体に対して及ぼしているのかが理解できて働いているのであれば、
なにも営業のスキルは磨かなくてもよいと思う。

起業に必要なスキルは、
全体的な儲かるビジネススキーム(ビジネスモデル)を描けて、
そのスキームを実現するために必要なパーツは何かを考えて、
そのパーツをそろえていくこと。

これに尽きると思う。

彼は技術者が会社から搾取されるのは営業スキルがないからだと話していたが
そうではなくて、ビジネススキルや法律の知識が足りないだけだと思う。

まだまだ若いうちから頭でっかちにならずに、
好き嫌いせずにどんな仕事でも貪欲にこなして、
その仕事がどんな意味があるかを真剣に考えることが
学生が企業で働いて得られることなんじゃないかと思う。

そうすれば漫然と狭小な視野で働いている社会人なんかよりも
よっぽど成長できると私は考える。

Web2.0はバナナ2.0みたいなもの

最近、ネット業界ではWeb2.0っていう概念がホットです。

簡単にいってしまうと、
Web1.0っていうのは、
インターネットを利用するためのアプリケーションなどを作って提供すること、
Web2.0っていうのは、
いろいろな人がインターネットを通じて情報発信することによってコンテンツを集積したり、そのDBを利用してその情報の有用性を高めること。

って感じ。

でも、そもそも、インターネットの概念って
「いろいろな人が容易に情報発信ができて、分散していた知識を集積して新たな価値を与えるもの」

って認識していたので、いまさら「Web2.0だ!」といわれたところで、
それってそもそものインターネットの本質としてずいぶん前から言われていたことだよね。っていう感覚で、
むしろ、今それを言っていること自体が遅すぎない?と感じます。

ある意味では、あたりまえのことを新しく見せるためのマーケティングの手段にしか見えません。

そういう意味で、Web2.0は、バナナのたたき売りが、
従来までのバナナとの違いを切々と説明して、
従来のバナナが1.0だったら、このバナナはバナナ2.0です。
といっているのと本質的には同じではないかと思います。

これから、ネット企業を中心にWeb2.0というキーワードが喧伝される可能性はありますが、
そのようなマーケティング用語に左右されずに、そのビジネスがインターネットビジネスとしての独自のユニークさを有しているかどうかで評価すべきだと思います。

IRの本質はそのようなマーケティング用語を多用せずに、
平易な言葉で自社のビジネスの本質を伝えられるか否かにあるので、
そういった流行り言葉を多用する会社の評価は割り引いて考えるべきだと思います。

COURRiER Japon

今年の12月に創刊された雑誌で
「COURRiER Japon(クーリエ・ジャポン)」
というものがある。

この雑誌、第1、第3木曜日の発刊ですが、
なかなか勉強になる。

世界のニュースを再編集して、
1つのテーマを世界はどのように見ているのか
ということが読める雑誌。

日本のニュースだけではものの見方に偏りがあるし、
日本にいてはしることができないニュースもたくさんある。

そういう意味で、世界とつながっている中で生きている僕らには、
もっと多様な視点が必要なんだと感じさせる雑誌です。

値段も480円でお買い得。

ネットサービスの動向

3回にわたって、現在のインターネットビジネスをとりまく動向の分析をしてきたが、
今回が最後。ということで、個人向けのインターネットビジネスについて。

個人向けのネットサービス業界については、
前述したインフラにおける個人の高速インターネット常時接続環境の
急速な普及に伴って、その市場規模は拡大をしており、
これまではインターネット専業の企業が主にインターネット上での
サービスを展開するという状況であったが、
リアルビジネスを行う企業のインターネット上での物販や
金融サービスなどへの参入が拡大しており、これらとあわせて、
今後も拡大をしていくものと思われる。

この中でも、メディアとしてのインターネットという意味では
ポータルサイトについてはヤフーが高い認知度と利用者数を背景として、
広告収入やオークションをはじめとしたネットサービスの利用拡大は
今後もそのコンテンツが増加することによって成長は続けていけるものと考えられる。

インフォシーク、楽天市場、楽天トラベルなどを擁する楽天グループも
ヤフー同様に高い認知度を背景として事業を成長させており、
個人のインターネット活用の拡大を享受できるものと考えられる。
(しかし楽天については、事業に占める金融の比率が高いことから
後述するように金融業として企業価値を評価する必要もある)

このほか、知名度や利便性の高さから外資系のGoogleやAmazonも
利用の拡大が進むものと考えられる。

また、インターネットを利用した画像配信サービスも
利用が進んで行くものと思われる。

一方で、リアルビジネスで高いブランド力を有する企業のネットサービスへの参入は
知名度の低い中堅、中小のネットサービス企業が競争により
淘汰される可能性を多く秘めており、企業や事業としての知名度や
ビジネスモデルやサービスのユニークさ、提携戦略などによって
成長できる企業とそうでない企業の選別が一層進むものと考えられる。

金融サービスについては、取扱高などでは既存の金融機関に
匹敵する規模へと成長を遂げ、またサービスのラインナップも
総合インターネット金融サービスへと展開をしており、
今後の成長には主に限られた市場規模の中で
既存金融機関との競争を行うことになることから、
その企業価値は他の金融機関と同じ基準で評価すべきときに差し掛かっていると考える。
また、オンラインゲームについても、ゲーム市場じたいが飽和となっている中で、
ある程度の規模に達した段階では他のゲーム企業と同じ基準での評価が
必要となってくるものと思われる。

インターネット広告市場については、インターネットがメディアとして成熟していく
につれて、広告市場全体に占める比率は向上していくものと思われ、それを取扱う広
告代理店は成長の機会があるものと思われるが、それにもましてメディアを運営する
ことがヤフーや米国のGoogleの例を見るまでもなく高収益かつ成長性があることから
、広告代理店よりも自社でのメディア育成ができる企業が、今後有望と思われる。

モバイルコンテンツ市場においては第2世代向けサービスについては市場に飽和感があ
り、第3世代携帯電話の通信機能と通信料金の定額制によって、動画や高精細画像、着
うた、ゲームなどのリッチコンテンツの普及が見込めるものの、2006年以降のナンバ
ーポータビリティ制度の導入によって、キャリア課金型のビジネスモデルはひとつの
ターニングポイントを迎えるものと思われる。ユーザーがキャリア間を容易に移動できるなかで、キャリアが課金することによって収益を上げるモデルは安定収益源とな
りうるのかどうかというところが問われるのではないかと考える。

そういう意味では、キャリア課金に依存しない勝手メディアによる広告収入や、さま
ざまな決済手段を供えた物販(これはFelica決済への対応なども含む)、モバイルオ
ークションなどに今後のモバイルコンテンツ市場の中心が移行する可能性を秘めてい
る。

最後に日本においては、インターネットサービスを行う企業はいまだに比較的高い評
価が得られやすい状況にある。しかし、前述したとおり、すでにインターネットビジ
ネスは既存のリアルビジネスとの競争になってきていることから、事業構造などに特
異性がない企業については既にリアルビジネスを行う企業との比較によって企業価値
を評価する時代に入ってきているのだと考える。

インターネットサービス企業向けサービスの動向

先日に引き続き、インターネット業界に関する動向分析その2

インターネット上でサービスを行う企業向けのサービス業者について

ネットサービスを行うための企業向けにサービスを提供している業界については、
SNSやブログなどのConsumer GeneratedMedia(CGM)を利用した
マーケティングなどが脚光を浴びていることもあり、
そのようなシステムを開発・販売している企業は脚光を浴びる可能性があるが、
CGMではいかに収益を上げるのかというビジネスモデルが確立されていないのが
実情であるため、一過性のブームで終わる可能性があるほか、
システムの開発・販売を行う企業が増加することによって、
以前のウェブ制作などのように単価下落が起こる可能性があると考える。

データセンターやホスティング、セキュリティサービスについては、
ネット上でのサービス利用が増加することによって需要は
今後も堅調に推移していくものと思われるが、
すでに需要が一巡しており、
以前のような爆発的な成長期待というのは難しいと思われる。

また、課金・決済サービスについては、
個人のインターネットにおける物販の利用が拡大している中で、
その課金・決済の量が増大していくことが考えられ、
今後も成長が期待できる分野であると考える。

とくに、携帯電話のFelica機能を利用し、
容易な課金・決済が可能となるサービスが提供可能となった場合には、
携帯電話を利用したECサービスの利用の急拡大が見込めるほか、
街中でのショッピングでも利用可能となった場合においても
利便性から拡大が見込める分野といえる。

このほか、アフィリエイトサービスなどについては、
今後のコマース利用の拡大とCGMによるメディアの増加によって
ある程度の成長は見込めるのではないかと考えられるが、
アフィリエイトサービスを提供することによって生まれる市場の規模は
コマース市場やCGM等における広告市場の規模に比べると
ほんの一部と考えられる。

ネット業界の分析

とあるところ向けに少しネット業界の分析をまとめたので、
せっかくだからこちらにも書いておきます。

まずはネットのインフラについて

ネット業界におけるインフラ部分に関してはADSLや光ファイバーの一般家庭への急速な普及によって高速インターネット常時接続の利用者が増加している。これは、ADSLにおけるソフトバンクグループに低価格戦略に拠るところが大きく、そのほか光ファイバーを提供しているUSENグループとそれらに追随したNTTグループなどによって市場は急拡大した。

また、携帯電話に転じれば、NTTドコモとau(KDDIグループ)、ボーダフォンの3大キャリアが、第3世代携帯電話サービスによって高速・大容量のデータ通信を可能としてきている。2006年にはナンバーポータビリティの導入と新規参入によってキャリア間でのユーザー移動に伴う競争激化によって利用料金の値下げにつながる可能性はある。

しかし、これらのインフラの普及状況は、既にある程度の普及は住んでおり、市場としては飽和に近い状態にあり、今後の成長性という観点で考えると、従来までのような成長を続けられるとは考えずらい。

このため、各社はFixed Mobile Convergence(FMC)戦略を打ち出しており、公衆無線LANも含めた総合サービスによる顧客の囲い込みが今後は起こって行くものと考えられ、NTTグループ、KDDIグループ、ソフトバンクグループといったの大企業同士の戦いになっていくのではないかと考える。